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Return to #29 - "Tofu Around the World" 食・食・食 豆腐 ~中国・唐代に誕生~ 大塚 滋 アメリカで豆腐がよく食べられていることは知っていたが、数年前、シアトルから飛行機で1時間ほど内陸の、あまり日本人も住んでいない小都市のスーパーマーケットで、桶に張った水の中で揺れている豆腐にお目にかかったときは感動した。日本の数十年前の風景で、遠い距離と時間と風景が急に縮まった感じがしたものだ。お客の主婦たちは平たい大きなサジで上手にすくってトレーに入れていた。コレステロールを含まない良質のタンパク食品ということで、豆腐はアメリカなどで健康食品としての地位を確立している。 ただし、今のところ、向うでの豆腐の食べ方は日本とはだいぶ違っていて、ケチャップやマヨネーズを使ったり、サラダに乗せたり、チーズと混ぜ合わせたりする方法がクックブックに紹介されている。「トーフアイスクリーム」や「トーフスティック」が売られ、食べてみるとけっこうおいしい。 もう1つの大豆加工品である醤油もはやっているが、日本でのように豆腐と強く結び付いてはいないようだ。アメリカの男たちが冷奴や湯豆腐で一杯飲むという図はだいぶ先の話になりそうだ。 豆腐の原料の大豆は東南アジアの原産で、豆腐、湯葉、納豆、豆乳、発酵食品類などたくさんな加工品があり、いずれも優れた栄養に満ち、ヨーロッパなどの乳製品に似た地位を占めている。豆腐はさらに油揚げ類、高野豆腐、がんもどきなどになって楽しい。 中国には紀元前100年以上前に発明されたというすごい伝説があるが、実は唐代(618~907年)の中ごろから作り始めたらしい。そして唐へ渡った日本の僧によって日本に持ち込まれて、室町時代に普及したと考えられている。 豆腐はそれ自体、淡白な中にも好もしい味と香りがあり、どんな料理にもマッチするので、たくさんな料理が工夫されてきた。江戸時代には『豆腐百珍』(百種類のよい豆腐料理の意味)と続編が出て、合計200種類以上の豆腐料理が紹介され、当時のベストセラーの1つとなった。 中国の豆腐は強く絞ってあるので、弾力があり、硬く、ひもでくくって持ち運べるほどだ。日本でもかつては豆腐は相当硬く作られていたようで、そこから豆腐を揚げたり、クシに刺して焼いたりするアイデアが生まれたのだろう。 クシに刺して焼いた豆腐に味噌をつけて焼いた料理は手軽な間食として好まれた。豆腐を長方形に切ってクシに刺した様子が、田植えの際に男が長い竹馬に乗って踊る「田楽舞」に似ていることから「田楽豆腐」と呼ばれるようになった。 また「冷奴」という名は奴(武家の下男)の衣服の背中の白い四角の模様に白い豆腐が似ていることからきた。日本人にとって豆腐には庶民的な情緒がある。 中日新聞 2003年8月10日 日曜版より Return to #29 - "Tofu Around the World" † |
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